現在の原木木材の流通事情Ⅱ 2001年
～2003年の流通事情～
前回につづき、今回は今年2003年の木材の流通について書いてみたいと思う。
2001年にヨーロッパに上陸した台風の影響が、今年に入って木材の市場にもかなり出てきている。昨年(2002年)は、その前の年の冬場に切った材木が流通していた為にあまり実感は無かったが、今年2003年にはその影響が次第に明らかなってきました。
その台風は我々の想像よりもかなり大きなものだったようです。規模もさることながら大陸を横断するコースを辿ったため、フランス・ドイツ・スイスのかなりの森を破壊させてしまったのです。実際、昨年フランスのベルサイユ宮殿の森（かなり大規模な森林）を訪れた知人によると、木が根っこから抜けていたり、途中から裂けていたりと、それはひどい状態だったといいます。
そこで、2003年11月まで新材の伐採を禁止して、その台風の影響でなぎ倒された木材（おそらく何万本もあると思われる）の整理をするのだそうです。
その影響が、ヨーロッパからの輸入材のブナ・ホワイトオーク・オークに出てきています。特に新材の需要が大きい「ブナ」は世界の市場に大きな影響を与えているようです。
以前、ドイツのある突板メーカーに生産量について訪ねたところ、全体の約80％がブナ材だという答えが返ってきました。という事は、ヨーロッパのかなりの量の家具内装材でブナが使用されているという事になるだろう。
近年、日本でもヨーロッパ産のブナ材の人気が出てきました。木目・色がきれいで安定供給出来るという事で使われ始めたところです。
ヨーロッパのメーカーは不足しているブナ新材の代替品として、急遽、北アメリカ産のオーク材・メープル材を大量に調達しているそうです。又、大量にヨーロッパブナを使用していた中国は、アフリカ材のシルバーリード（アングレ）の調達に動いていようだ。
一方、日本はさらに厳しい状況にあります。もともとグレードの厳しい日本は、今までもなかなかいい材が買えませんでした。しかも北アメリカ材・アフリカ材・ヨーロッパ材の入手が困難ときていて、市場価格も上がっています。
今年(2003年)前半は、昨年以前に買った材と不景気で需要が少ないせいでなんとかなりそうですが、今年夏以降は深刻な材料不足になりそうです。
～今思いついた余談を書きます～
ブナはなぜ新材を使うのか！
南国材を除いて、木材のほとんどは冬場に伐採されます。葉を落とし、自らの成長を停止させている冬場に伐採されるのです。その冬場に伐採されたものを「新材」といいます。
ブナ材は糖分を多く含んでいるため、生の状態では黄ばんだり赤くなったりといった変色がしやすい木です。特に色を白く仕上げるためには、冬場しか突板の生産を行わず、１月から３月初旬位までの間にその年の年間の使用量を生産してしまいます。それ以外の時期は着色用など、変わった色合いのものを生産しているようです。その為、その年の新材の量はとても重要になるのです。
その他、メープル,カエデ等も糖分の多い木材です。
