〜 店に使われている 木の話 〜
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喫茶 大工集団欅(けやき)






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黄楊 柘植  (つげ)

学名 Buxus microphylla var. japonica

原産地は日本です。
常緑低木。樹皮は、灰白色で平滑。
葉は、対生。革質、深緑色で光沢があります。

柘植の分布は宮城県・山形県以南の本州と四国、九州の温暖な、石灰岩、蛇紋岩地帯にだけ局所的に生育しています。
黄楊は柘植とも書きますが、櫛の場合には黄楊櫛と書くのが本当といわれています。

櫛の良材は御蔵島から採れる黄楊が最良との評価を得ています。
愛知県の八名郡甚古山、福岡県の嘉穂郡古処山、長崎県の下県郡阿連白山と三宅島、御蔵島などの伊豆諸島が主産地です。
サツマツゲとして名が通った庭木が鹿児島県にあります。
台湾ツゲはツゲ科の木で成長が早いので植栽されます。

黄楊の用途は櫛、印鑑、将棋の駒が有名で、算盤玉、ブラシの柄、傘の柄、定規、物指、三味線の撥や入れ歯にも使われました(昔は入れ歯が木で作られていたんですよ)。
製図機、測量機械、測量用具の重要な部材であり、木管楽器の管も黄楊が使われます。
版画の台木はサクラが主体ですが、浮世絵等の精密な描線(髪の毛等の細かい部分)を要する所には柘植(昔から板材で用いる物には柘植と書きました)を使い、サクラ材に埋め木をして使用されます。
彫刻でも細かい仏像などに好んで彫られます。
黄楊・柘植は日本にある木材の中で最も緻密で均一な材質であって、強度のあるプラスティックが作られる迄は柘植は重要な資材でした。

庭木、盆栽としても植えられます。
植栽土壌は 砂〜埴土 を好みます。 根型は 中間型。 樹形は 株立型 です。
成長は遅い木ですが、移植は比較的易しいそうです。

花の時期は 3月〜4月 。実の時期は 10月
潮風につよい木で、刈込可能なため生垣として利用もされています。


『黄楊の花ふたつ寄りそひ流れくる』   中村草田男


← 当店では黄楊は入口のカウンターにある名刺入れとして、小鳥を彫刻をして用いています。

これは黄楊の木を彫刻家の長谷川万葉氏に渡し、作成を依頼したものですが、依頼したのを忘れてしまい、2年後に完成の知らせがあり、とても嬉しかったのを覚えております。
元々は筆洗いとして作られました。
黄楊は太くなりませんが、長谷川さんにお渡しした黄楊は直径が30cm程の見事な黄楊でした。


← 当店では時々、根付を展示しています。

根付の多くも黄楊で作られています。

(その他の材としては栗・一位・椿、等で作られています)。
← 黄楊の柾目