〜 店に使われている 木の話 〜
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喫茶 大工集団欅(けやき)






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(かき)

学名 Diospyros kaki (Thunberg)(ディオスピーロスカキ(ツンベルグ))

この属名のディオスピーロス(Diospyros:カキ属)は、ギリシャ語のDiospyros(ディオスピュロス)に由来しています。このディオスはゼウス(ジュピターの神:JJupiter)を、ピエロスは小麦、穀類、果実を指していると考えられています。すなわち、神の食べ物の意味で、柿の美味な果実を讃えたものです。ちなみに、Kaki(カキ)は日本語の柿、ツンベルグは、カキの発見者のカール・ベール・ツンベルグ博士(Dr,CarlPeter,Thunberg:1743〜1822年)の名です。彼は、有名なスウェーデンの植物学者カール・フォン・リンネ(Carl von Linne:1707〜1778年)の門弟で、日本に来た事があります。
柿の原産地については、日本自生説と中国揚子江沿岸原産説(奈良時代を中心に渡来した)の2説がありますが、学会では学名にもKakiとあるように原産は日本であるというのが一般的な考えになっているようです。しかし、中国の旬項録には日本へ持っていったと記されています。

かきのき科 かきのき属
英名は Kaki, 若しくはPersimmon
落葉高木  (広葉)
植栽地域  本州以南
原産地   東アジア(日本)
陽樹〜陰樹

柿の原産地は東アジアの温帯で、中国や朝鮮半島それに日本が特産地です。葉は互生し、裏面に褐色の毛がはえています。
6月ごろ、黄緑色の花を葉腋に咲かせますが、雄花と雌花があります。
果実は10月から11月にかけて黄赤色に熟します。
昔は幼果から柿渋をとって、防腐剤としました。
800以上の品種があると言われています。
岐阜の「富有柿」、静岡の「次郎柿」そして新潟の「平核無柿」が有名です。
この近くでは鳥越村の武師ヶ野(ぶしがの)の柿が有名です。
植栽土壌は 粘土〜埴土 を好みます。
樹形は 不斉型 です。

柿には渋柿と甘柿がありますが、最初からの甘柿の木はありません。つまり甘柿は全て渋柿に甘柿を接ぎ木したものなのです。ですから甘柿の木をよーくご覧になって下さい、地面から1m位の処で接ぎ木をした後が必ずあるはずです。
甘柿は、わが国で改良された物で、鎌倉時代以降の文献『庭訓往来(ていきんおうらい)』などにその名が登場します。
次郎(じろう)柿は静岡県周智郡森町(しゅうちぐん・もりまち)に今でも原木があります。つまり、次郎柿はこの1本の原木から広まった物なのです。

成木の移植は難しいとされていますが、ここの庭には樹齢10年ほどの柿木を3年前に2本移植し、成功しました。
花にも鑑賞価値があると言われていますが、それよりも 実の方が鑑賞価値(?)があるのではないでしょうか。
また、新芽に鑑賞価値があると言う人もいて、日本画の素材にもよくなっています。
花の時期は 6月 。実の時期は 10月〜11月です。
潮風に強くて海岸の近くでもよく見かけます。また公害にも強いと言われています。
庭木としてもよく植樹されています。そのときはポイント植栽になっていることが多いようです。

英名のPersimmonは皆さんの中にはお世話になった方もおいでるのではないでしょうか。
パーシモン。そうです、以前はゴルフのウッドに使われていましたよね。
柿は大木にはならないため、用途としては小間物にしか利用できません。
茶棚等の家具も見たことはありますが、合板に薄くスライスした物を貼り付けてありました。

それよりも、柿と言えば実ですよね。
でも、ここでは葉について少し書きます。
柿の葉寿司・・・・・・。
いいえ、それよりも此処は喫茶店ですからTea(ティー)について書きます。
成長期の6〜8月に摘んだ葉はビタミンCが豊富で、レモンの20倍も含まれます。この葉を蒸して細かく刻み、乾燥させたものをお茶にして飲みます。お茶はさっぱりとして、なじみのある草っぽい風味がします。血圧を下げる成分を含み、高血圧対策に良いといわれます。また飲みにくいハーブのブレンドに使えば、味をまろやかにします。

【柿 BLEND TEA 】
  1.すっきりとして飲みやすいまろやかな味わいが好きな方の
    【柿 blend tea】の作    り方
     カキ1杯+ハトムギ1杯
  2.さわやかな風味でリラックスさせてほしい方の
    【柿 blend tea】の作り方
     カキ1/2杯+ペパーミント1/2杯+ラベンダー1/3杯

また、カキのフレッシュ(生の葉)はお風呂に入れると血行促進に役立つそうです。


柿の名前の由来
カキの名前は、実が赤くなることにより付けられたようです。
江戸時代の後期の国語辞典『和訓栞(わくんしおり)』には、「柿は實の赤きより名を得たるにや、葉もまた紅葉す、・・・」と記されています。
一方、漢字の方は、中国名の柿(し)がそのまま用いられました。漢方薬に使われるカキのへ夕の柿蔕帝(してい)も同じです。このあたりの事情が、平安時代の日本初の分類別漢和字書である『和名類聚鈔(わみょうるいじゅしょう)に、次のように記されています。
「柿 説文云、柿 音市、和名 賀岐、赤實菓也」。文中の『説文』は、中国後漢中期の書『説文解字』(せつもんかいじ)の事です。
また、同時代の『本草和名』(918年)などの多くの古文書には、「加岐」、「賀岐」の字が見受けられます。この頃は、『延喜式』(927年)によると渋柿の熟しや干し柿を祭礼の菓子として供していたようです。 

渋柿でも熟すと甘くなります。渋柿が何故甘くなるのか。
渋柿には「柿渋」が多く含まれ、この柿渋は縮合型タンニンと呼ばれる数種類のタンニンの混合物です。渋柿の状態では、水溶性であるために味覚神経を収赦し、強烈な渋みを感じさせます。脱渋にはいろいろな方法がありますが、脱渋したものは、渋みを感じさせるタンニンがアセトアルデヒド等と結合して、水に溶けない状態になるので、味覚神経に作用しなくなるために、渋みを感じなくなります。タンニンが糖に変わるわけではありません。
また、干し柿の表面の白い粉はα−D-グルコースとフルクトースの結晶です。

ここまで長く柿を書きましたが、実は当店では柿は使っておりません。
但し、黒柿(くろがき)を使っております。
柿の木の中で心材に黒色の縞が生じたものが稀にあります。それを黒柿と言います。
ですから、黒柿の木と言う物はこの世にはありません。柿の木を伐って杢目を見て初めて黒柿かどうかが解るのです。
黒柿は滅多にありません。ですから珍重されるのです。
昔は黒柿に魅せられた人達がいて黒柿を探しに行脚したと聞きます。でも「黒柿探しは身上を潰す」と言われたくらい難しいものでした。
一説には黒柿は10,000本に1本と言われています。

← 当店の使用箇所はお客様カウンターと事務カウンターの蝶々象嵌細工に使用しました。

蝶々象嵌細工は木が乾燥し割れるのを防ぐのと、割れた箇所をそれ以上割れないようにする、あるいは飾りとして細工します。

←これは根付のショーケースです。

枠の黒い部分が黒柿で作られています。

当店ではこれ以外にもレコードのターンテーブルにも使いました。